骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨の量や質が低下することで、骨が脆くなり骨折しやすくなる病気のことです。
私たちの体の中では、古い骨を壊すこと(骨吸収)と新しい骨を作ること(骨形成)を繰り返しながら、常に新しい骨が作り直されています。このバランスが崩れることで、骨の密度が低下し骨が脆くなってしまいます。
骨密度は成長期に上昇し、20歳前後にピークを迎え、その後は横ばいもしくは少しずつ低下していきます。成長期にバランスの良い食事や運動習慣をつけることを心がけて、骨密度のピークを高くしておくこともとても大切なことです。
骨粗しょう症
自覚症状はほとんどない
自覚症状に乏しく、あったとしても何となく腰や背中が痛い、身長が縮んできた、背中が曲がってきた気がするといったものです。
骨折したことをきっかけに病院で骨密度検査を受け、診断されるいうことが多いです。

骨粗しょう症はどんな人に多いの?

骨粗しょう症患者の8割が女性と言われ、特に閉経後は急速な骨密度の低下を認めます。
他、以下のような方は骨粗しょう症になるリスクがあると言われています。
いくつか当てはまる方は骨密度検査を受けることをおすすめします
  • 家族に骨粗しょう症の方がいる
  • 外出をあまりせず日に当たる機会が少ない
  • タバコを吸う、お酒をよく飲む
  • カルシウムを含む食品をあまりとらない
  • やせている
  • 急なダイエットをしたことがある
  • リウマチにかかっている
  • 以前ステロイドによる治療をうけたことがある

骨粗しょう症になるとどうなる?

小さな衝撃でも骨折しやすくなります。軽い転倒や、場合によっては重いものを持ち上げた、草抜きをしたなどのきっかけで骨折することもありますし、さらに進行すると子犬を抱き上げた、掃除機をかけたなどのほんのささいなことでも骨折することがあります。

どんな骨折をしてしまう?骨折したらどうなる?

大腿骨頸部骨折(太ももの付け根の骨折)

横に転倒することで起こりやすい骨折です。この骨折を起こすと多くの場合、手術を要します。手術をしないと、歩行できなくなり寝たきりになることが多いからです。うまく回復すればいいのですが、歩行能力は低下することも多く、場合によっては寝たきりになったり、認知症を発症することもあります。また身体能力の低下により生命予後も悪化するといわれています。

脊椎椎体骨折(背骨の骨折)

尻餅をつくことで起こりやすい骨折です。中には「いつの間にか骨折」と呼ばれるきっかけさえ分からないうちに骨折している場合もあります。この骨折を起こすとコルセットなどを作成し、ベッド上安静を余儀なくされます。うまく回復すればいいのですが、場合によっては寝たきりになったり、認知症を発症することもあります。
治癒した後も身長が縮んだり、腰が曲がったりなどの症状が残り、椎体骨折の数が増えると逆流性食道炎や心肺機能の低下を引き起こすこともあります。

橈骨遠位端骨折(手首の骨折)

転倒時に手をつくことで起こりやすい骨折です。この骨折を起こすと、骨のずれが小さい場合は保存治療(シーネ等による固定の治療)、骨のずれが大きい場合は手術治療が選択されます。きちんと治療がうまくいくといいのですが、場合によっては手をついた時の痛みが残ったり、動きが悪くなるなどの後遺症が残る可能性があります。

骨粗しょう症に対する当院での検査・治療の流れ

腰と太ももの付け根で測定するDEXA法を導入しています
当院では、最新の骨粗しょう症ガイドラインにおいて推奨されているDEXA(デキサ)法を行っています。DEXA法とは腰椎と大腿骨(太ももの付け根)で正確に骨密度を測定する方法です。
橈骨(手首周辺)、踵骨(かかとの骨)で測定する方法もありますが、DEXA法が一番正確で、他の検査では測定誤差があったり治療効果の判定が困難であったりします。
また、骨折すると大きく生命予後に関連する腰と大腿骨を調べるというのも大きな意味があります(同じ人の骨でも部位により骨密度が違うことがあります)。
橈骨、踵骨の簡便な検査を検診等で受けられ、そこで異常を認めたり、ボーダーラインにある場合はDEXA法をするという考えもあります。
骨密度検査室

当院での治療の流れとしては以下のようになります

DEXA法で骨粗しょう症と診断された場合は、骨粗しょう症の原因を調べるために採血検査を行います。骨粗しょう症の採血検査は特殊な項目で検査をしていきます。検査に時間を要するため、結果は約1週間後に来院していただき、説明となります。検査によって、骨を作る働きが弱い、古い骨を壊す働きが強い、カルシウム値が低い等の原因が分かります。

原因に応じた治療

【内服薬】
◇ボナロン、ベネット、リカルボン(ビスホスホネート製剤)
古い骨を壊す細胞の働きを抑えることで、骨密度が低下することを防ぐ薬です。 内服方法が毎朝、週に1回、月に1回と3種類あります。患者様の生活スタイルに合った内服薬を、相談しながら選択していきます。
◇ビビアント
歯科治療と骨粗しょう症と治療薬の併用により副作用を生じることがありますが、この薬は歯科治療中であっても使用できる薬です。当院では、歯科治療中の患者様に対して処方します。
【注射薬】
◇イバンドロン
古い骨を壊す細胞の働きを抑える薬で、月に1回の注射です。
◇プラリア
古い骨を壊す細胞の働きを抑える薬で、6ヶ月に1回の注射です。副作用として血液中のカルシウムが低下することがあるため、カルシウム製剤またはビタミンD製剤を一緒に内服します。
◇イベニティ
新しい骨を作る細胞の働きを促し古い骨を壊す細胞を抑える薬で、1ヶ月に1回の注射です。 治療期間は1年間です。副作用として血液中のカルシウムが低下することがあるため、 患者様の採血結果に応じてカルシウム製剤また はビタミンD製剤を 一緒に内服する場合もあります。
◇テリボン(テリパラチド)
新しい骨を作る細胞の働きを促す薬で、血液中のカルシウムを上げる効果もあります。 1週間に1回の注射または1週間に2回の自己注射、1日1回の自己注射の3種類の投与方法があります。治療期間は2年間です。
◇オスタバロ
新しい骨を作る細胞の働きを促す薬で、血液中のカルシウムを上げる効果もあります。 1日1回の自己注射です。治療期間は1年半です。
【栄養指導】
当院では受付におすすめのレシピを置いております。食事の改善点など気になる事もご相談いただけます。
【運動指導】
患者様の生活に合わせて提案させていただきます。
治療効果や副作用を確認するために、半年毎にDEXA法、採血検査を実施します。
その都度、患者様お一人お一人に合った治療を選択していきます。
骨粗しょう症は健康寿命と密接に関係しています。
患者様が健康で元気に生活を送ることができるようスタッフ全員でサポートしていきますので、お気軽にご相談下さい。