骨粗しょう症とは
骨の量や質が低下することで、骨がスカスカになり骨折しやすくなる病気です。
骨は、骨形成(骨が新しく作られること)と骨吸収(古い骨が分解されること)を繰り返して新陳代謝をしています。この代謝バランスが崩れることで(骨吸収が骨形成を上回る)骨粗しょう症になってしまいます。
自覚症状はほとんどない
自覚症状に乏しく、あったとしても何となく腰や背中が痛い、身長が縮んできた、背中が曲がってきた気がするといったものです。
骨折して初めて骨密度検査を行われ、診断されるということが多いです。
骨粗しょう症になるとどうなる?
小さな衝撃でも骨折しやすくなります。軽い転倒や、場合によっては重いものを持ち上げた、草抜きをしたなどのきっかけで骨折することもありますし、さらに進行すると子犬を抱き上げた、掃除機をかけたなどのほんのささいなことでも骨折することがあります。
どんな骨折をしてしまう?骨折したらどうなる?
大腿骨頸部骨折(太ももの付け根の骨折)
横に転倒することで起こりやすい骨折です。この骨折を起こすと多くの場合、手術を要します。手術をしないと、歩行できなくなり寝たきりになることが多いからです。うまく回復すればいいのですが、歩行能力は低下することも多く、場合によっては寝たきりになったり、認知症を発症することもあります。また身体能力の低下により生命予後も悪化するといわれています。
脊椎椎体骨折(背骨の骨折)
尻餅をつくことで起こりやすい骨折です。中には「いつの間にか骨折」と呼ばれるきっかけさえ分からないうちに骨折している場合もあります。この骨折を起こすとコルセットなどを作成し、ベッド上安静を余儀なくされます。うまく回復すればいいのですが、場合によっては寝たきりになったり、認知症を発症することもあります。
治癒した後も身長が縮んだり、腰が曲がったりなどの症状が残り、椎体骨折の数が増えると逆流性食道炎や心肺機能の低下を引き起こすこともあります。
橈骨遠位端骨折(手首の骨折)
転倒時に手をつくことで起こりやすい骨折です。この骨折を起こすと、骨のずれが小さい場合は保存治療(シーネ等による固定の治療)、骨のずれが大きい場合は手術治療が選択されます。きちんと治療がうまくいくといいのですが、場合によっては手をついた時の痛みが残ったり、動きが悪くなるなどの後遺症が残る可能性があります。
骨粗しょう症はどんな人に多いの?
骨粗しょう症患者の8割が女性と言われ、特に閉経後は急速な骨密度の低下を認めます。
他、以下のような方は骨粗しょう症になるリスクがあると言われています。
いくつか当てはまる方は骨密度検査を受けることをおすすめします
- 家族に骨粗しょう症の方がいる
- 外出をあまりせず日に当たる機会が少ない
- タバコを吸う、お酒やをよく飲む
- カルシウムを含む食品をあまりとらない
- やせている
- 急なダイエットをしたことがある
- リウマチにかかっている
- 以前ステロイドによる治療をうけたことがある
骨粗しょう症に対する検査、治療の流れ
腰と太ももの付け根で測定するDEXA法を導入しています
当院では、最新の骨粗しょう症ガイドラインにおいて推奨されているDEXA(デキサ)法を行っています。DEXA法とは腰椎と大腿骨(太ももの付け根)で正確に骨密度を測定する方法です。
橈骨(手首周辺)、踵骨(かかとの骨)で測定する方法もありますが、DEXA法が一番正確で、他の検査では測定誤差があったり治療効果の判定が困難であったりします。
また、骨折すると大きく生命予後に関連する腰と大腿骨を調べるというのも大きな意味があります(同じ人の骨でも部位により骨密度が違うことがあります)。
橈骨、踵骨の簡便な検査を検診等で受けられ、そこで異常を認めたり、ボーダーラインにある場合はDEXA法をするという考えもあります。
当院での治療の流れとしては以下のようになります
DEXA法施行し異常を認めた場合
血液検査(骨代謝マーカー、カルシウムなど)を行い原因検索
骨吸収亢進、骨形成低下、カルシウム低下など
原因に応じた治療
内服、注射等の薬物治療、栄養指導、運動指導
定期的なDEXA法、採血による治療効果評価、治療法検討
骨粗しょう症治療は、健康で元気に長生きするにはとても大事なことになります。当院では患者様の一人一人に寄り添って治療を行ってまいります。